姫と年下王子たち
なぜか、この人混みを理由にしたくなかった。

それに、由香里の家は篠川橋を渡ればすぐだ。


目的地は目と鼻の先だし、病み上がりの由香里だって、今日は早く帰って休みたいだろうし。


先頭を切って、俺は人混みに入っていった。


人の波に呑まれるとは、まさにこのこと。

体を斜めにして、人の間を縫うように進むのがやっと。


「…待って、涼っ」


ふと騒つく人混みから、そんな声が聞こえた。
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