フキゲン課長の溺愛事情
璃子は沙織に手を振って歩き出した。達樹の部屋へは啓一の部屋に帰るのと同じ電車の路線を使うが、方向は逆だ。啓一との思い出をたどらなくてすむことにホッとしながら、璃子は電車に乗った。最寄り駅で降り、駅前のスーパーの前を素通りしようとして、ふと足を止める。
(課長にはお世話になりっぱなしだし、晩ご飯くらい作ろうかな。『気を遣わなくていい』って言われたけど、作ったら食べてくれるんじゃないかな)
課長はどんな料理が好きなんだろう、ずっと海外にいたから和食の方がいいかな。そんなことを考えながら食材を選ぶ。野菜や精肉のコーナーをぐるぐる回ったが、結局無難な肉じゃがにすることにした。
食材の入った袋を下げて、達樹の部屋のあるマンションへと向かう。飲み会の翌日や引っ越しした昨日はバタバタしていて、じっくり見るヒマはなかったが、今こうして近くから見ると、それはこの辺りでもひときわ大きなマンションで、窓を大きく取った都会的な外観だった。
(いいとこ住んでるんだ~。治安もよさそうだし、長く住むにはいいよね。課長もそんなことを思ってここを借りたのかな……)
璃子はバッグから今朝借りた合い鍵を取り出し、入口のオートロックのセンサーにかざした。自動ドアが静かに開く。クリーム色の壁の明るいエントランスを通ってエレベーターで十階に上がり、玄関ドアを開けて、キッチンカウンターに食材入りの袋を置いた。
(課長にはお世話になりっぱなしだし、晩ご飯くらい作ろうかな。『気を遣わなくていい』って言われたけど、作ったら食べてくれるんじゃないかな)
課長はどんな料理が好きなんだろう、ずっと海外にいたから和食の方がいいかな。そんなことを考えながら食材を選ぶ。野菜や精肉のコーナーをぐるぐる回ったが、結局無難な肉じゃがにすることにした。
食材の入った袋を下げて、達樹の部屋のあるマンションへと向かう。飲み会の翌日や引っ越しした昨日はバタバタしていて、じっくり見るヒマはなかったが、今こうして近くから見ると、それはこの辺りでもひときわ大きなマンションで、窓を大きく取った都会的な外観だった。
(いいとこ住んでるんだ~。治安もよさそうだし、長く住むにはいいよね。課長もそんなことを思ってここを借りたのかな……)
璃子はバッグから今朝借りた合い鍵を取り出し、入口のオートロックのセンサーにかざした。自動ドアが静かに開く。クリーム色の壁の明るいエントランスを通ってエレベーターで十階に上がり、玄関ドアを開けて、キッチンカウンターに食材入りの袋を置いた。