フキゲン課長の溺愛事情
ぶつぶつと言う優太を無視して、璃子は沙織に話しかける。
「パンフの和訳を頼んだのは沙織なのに『週明けまで取りかかれない』って言うってことは、広報室全般を目の敵にしちゃったのかな……まいったなぁ。私、ちょっと総務課に行ってくるよ」
璃子はすっくと立ち上がった。沙織があわてて璃子のブラウスの袖を掴む。
「ちょっと待って、さすがに会社で修羅場はちょっと……」
「大丈夫、ケンカを売りに行くわけじゃないよ。直接頼みに行くだけだから」
璃子は言って、沙織の手からブラウスの袖を引き抜き、広報室を出た。エレベーターで総務課のフロアに下りてドアから覗いたが、席に友紀奈の姿はない。
(トイレかな? ふたりきりの方が話しやすいよね)
璃子は女子トイレの方に向かって歩き出した。廊下の角を曲がったとき、ちょうどトイレから友紀奈が出てきて、璃子を見て足を止める。
「和田さん、ちょっといいかな」
「私、別にあなたとお話しすることなんてありませんけど」
璃子を〝あんた〟呼ばわりしないものの、声には相変わらず毒が含まれていた。
「パンフの和訳を頼んだのは沙織なのに『週明けまで取りかかれない』って言うってことは、広報室全般を目の敵にしちゃったのかな……まいったなぁ。私、ちょっと総務課に行ってくるよ」
璃子はすっくと立ち上がった。沙織があわてて璃子のブラウスの袖を掴む。
「ちょっと待って、さすがに会社で修羅場はちょっと……」
「大丈夫、ケンカを売りに行くわけじゃないよ。直接頼みに行くだけだから」
璃子は言って、沙織の手からブラウスの袖を引き抜き、広報室を出た。エレベーターで総務課のフロアに下りてドアから覗いたが、席に友紀奈の姿はない。
(トイレかな? ふたりきりの方が話しやすいよね)
璃子は女子トイレの方に向かって歩き出した。廊下の角を曲がったとき、ちょうどトイレから友紀奈が出てきて、璃子を見て足を止める。
「和田さん、ちょっといいかな」
「私、別にあなたとお話しすることなんてありませんけど」
璃子を〝あんた〟呼ばわりしないものの、声には相変わらず毒が含まれていた。