フキゲン課長の溺愛事情
オフィスを見回したとき、総務課の隣のシマにある人事課から、課長の中森(なかもり)に手招きされた。人差し指を鼻に当てて〝私ですか?〟と問うと、課長がうなずき、手振りで応接室を示した。
(人事課長が私になんの用だろう)
璃子は不安でドキドキしながら、オフィスの端を歩いてそちらへ向かった。
「おはようございます、中森課長」
「うん、おはよう。少し時間をくれ」
課長に続いて応接室に入り、彼に促されてソファに向き合って座った。
「始業前だから手短に言うが」
「はい」
「和田さんが広報室から回される仕事の量が多すぎる、と苦情を言ってきた」
中森の言葉に、璃子は目を丸くした。
「えっ、苦情ですか? 私、そんなに和田さんに仕事を頼んでいないと思いますけど」
「昨日、本人から申し出があったんだ。特許出願書類など時間を争う書類の翻訳をしなければいけないのに、広報室の仕事を後回しにするな、と圧力をかけられて困っている、と」
中森の渋い顔を見ながら、璃子は内心舌を巻いた。
(うわぁ、和田さんって根回しが早いわ……ある意味すごい)
(人事課長が私になんの用だろう)
璃子は不安でドキドキしながら、オフィスの端を歩いてそちらへ向かった。
「おはようございます、中森課長」
「うん、おはよう。少し時間をくれ」
課長に続いて応接室に入り、彼に促されてソファに向き合って座った。
「始業前だから手短に言うが」
「はい」
「和田さんが広報室から回される仕事の量が多すぎる、と苦情を言ってきた」
中森の言葉に、璃子は目を丸くした。
「えっ、苦情ですか? 私、そんなに和田さんに仕事を頼んでいないと思いますけど」
「昨日、本人から申し出があったんだ。特許出願書類など時間を争う書類の翻訳をしなければいけないのに、広報室の仕事を後回しにするな、と圧力をかけられて困っている、と」
中森の渋い顔を見ながら、璃子は内心舌を巻いた。
(うわぁ、和田さんって根回しが早いわ……ある意味すごい)