フキゲン課長の溺愛事情
(いったい課長はどんなひどいことをしたんだろう。こんなふうにいい人そうなフリをして、実は腹黒・極悪・性悪課長だとか……?)

 達樹のいい面を知れば知るほど、ここから女性が出て行った理由が、彼が彼女を『泣かせた』理由が気になってしまう。

 璃子は朝食を食べながら、視線を落として考え込んだ。そんな彼女の様子を達樹はしばらく見ていたが、やがて口を開いた。

「水上はよくやってるよ。四国のプロジェクトが動き出せば少しは楽になるだろう。今は忙しくて大変だろうけど、きっと報われる。その証拠に、水上にはすぐにいいことがあるから」

 彼の言葉に璃子は顔を上げた。

「いいこと?」
「そうだ。きっと元気になれる」

 考え込んでいたのは仕事のことではないのだが、達樹の言葉が気になった。

「いいことってなんですか?」
「今は言えない。でも、仕事がらみだ」

 達樹がそう言って片方の口角を上げた。自分だけでなにかを楽しんでいるような思わせぶりな笑みだ。
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