フキゲン課長の溺愛事情
 それでもしつこく食い下がる璃子の言葉に、達樹の笑みがやさしげなものに変わる。

「水上には繊細なところがあるのは知ってる。だけど、このくらいのことじゃ動じないのも知ってる」

 璃子も負けじと言い返す。

「私だって課長が本当は〝不機嫌課長〟じゃないってこと、知ってますよっ」

 いたずらっぽく笑ってみせると、達樹が顔をしかめた。

「すぐにわかるから早く行け。遅刻したいのか」
「あ、それは大変!」

 璃子はあわてて朝食の続きを食べ始めた。




 そうしていつも通り、達樹よりも先に家を出た璃子は、就業時間が始まった直後、環境都市開発部長から内線で呼び出された。

「わかりました、部長。すぐにお伺いします」

 璃子が緊張した声で言って受話器を置いたとたん、沙織が心配顔で璃子に問う。

「部長に呼び出されるなんて、璃子、あんたなにやったの?」
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