フキゲン課長の溺愛事情
(課長をドギドキさせてみたい!)

 璃子はベンチの上を滑るようにして、達樹に近づいた。そうして彼の二の腕にぴとっと肩を触れさせてみる。

「それ、食べてもいいですかぁ?」

 下から覗き込むようにして彼を見上げた。

(この角度はかわいく見えるはず!)

 けれど、そんな璃子の努力も虚しく、達樹はプリンをすくったスプーンを璃子の口に突っ込んだ。

「そんなに食べたいなら、ほら」
「むぐっ」

 色気のない声が出てしまい、璃子は肩を縮ませながら口の中のプリンをもぐもぐと食べる。璃子の口を動きに合わせてスプーンが上下するのを見て、達樹が吹き出した。

「それ、おかしいだろ」

 そう言ってくすくすと笑っている。璃子の目の前の彼の顔は、目が細くなって唇が大きな弧を描いていた。
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