フキゲン課長の溺愛事情
 達樹の言葉にドキンとしたとき、璃子の手の中で最後のひと口になっていたコーンに、彼がぱくりと食いついた。弾みでコーンを持っていた璃子の指に彼の唇が触れる。やわらかなその感触に背筋がぞくりとして、喘ぐような声が漏れる。

「課長……っ」
「俺、コーン好きなのに、ほとんどひとりで食べたな」

 達樹が璃子の手を握ったままチラリと彼女を見た。その流し目に胸を射貫かれ、握られた手がどんどん熱くなって、鼓動が頭に大きく響く。

(私、課長のことが好き……)

 それを実感して、璃子は真っ赤な顔で達樹を見つめた。

「わ、私も……好き」

 達樹が瞬きをした。

「水上もなのか」
「はい」
「わかった。そんなに好きなら、もうひとつ買ってやる」
「へ?」
「ジェラート」
「ジェラート?」
「ああ。コーンだけ売ってもらうわけにはいかないからな」

 その言葉に、達樹がなにを『好きなんだ』と言ったのかを璃子は理解した。
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