フキゲン課長の溺愛事情
「課長……」

 達樹の言葉がうれしくて、胸がじぃんとしてきた。

「まあ、水上が俺のツボだっていうのもあるけど」
「またツボですか……」
「そう。一緒にいて水上ほど笑えるやつはいない」
「それってひどくないですか? おもしろいとか、笑えるとか、女性に対して使う言葉じゃないです」

 璃子がぷっと頬を膨らませると、その頬を達樹が軽くつまんだ。

「その顔もツボだ」
「人の顔で遊ばないでください!」

 そう言ったとき、足音がして海翔が近づいてきた。ふたりの様子を見て穏やかな笑みを浮かべる。

「やっぱり今度は泊まりに来てくださいね、おふたりで」

 海翔の言葉に璃子はあわてて首を振る。

「や、だって、私と課長はただの上司と部下で、あ、じゃなくて、部下と上司で!」

 あたふたする璃子とは対照的に、達樹は落ち着いた表情で彼女の耳にささやく。
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