フキゲン課長の溺愛事情
 璃子は首を傾げて沙織を見た。

「だって、あんなに傷ついていた璃子の心を癒やして、虜にしちゃうような人なんでしょ? そんな人がダメ男なわけないと思うけど」
「うん……」

 璃子は頬杖をついて視線をテーブルに落とした。

 達樹はダメ男どころか、一緒にいればいるほど、無愛想な表情の裏に隠れた意外な一面が見えて、心惹かれてしまったステキな人だ。

 沙織が言う。

「彼がほかに忘れられない人がいても、その人との関係はもう終わったわけなんでしょ?」
「うん……」
「それなら、これから璃子を好きになってくれる確率はゼロじゃないと思うよ」

 沙織の言葉に、璃子は顔を上げた。

「どうしてゼロじゃないなんて言えるの? 彼は『後悔してる』って言ってたのに」
「だって、いくら困ってても、普通、異性を同居なんかさせてくれないよ?」
「だから、それは、私と彼の元カノの状況が似てたからで……彼は罪悪感から……」
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