君を想う

シンガポールに来て半年後。

一年間はシンガポールにいる予定だったが立ち上げた仕事に目処がつき半年で日本に戻れることになった。


『クリスマスは一緒に過ごせる』


『……藤崎さん?今、なんて……?』


『仕事が軌道にのったから日本に戻っていいって言われたんだ。それで一ヶ月後に戻ることになった』


『……』

何の返事もなく無言の藍川に心配になった。

『藍川?』


『……ホントに?日本に帰って来るんですか?あっ、でも、暫くしたらまたシンガポールに行くんですよね?』


電話の向こうから寂しそうな声が聞こえた。


『多分……これからはずっと日本にいられると思う』

『……』

『どうした?』

『……良かったぁ……これからは会いたい時に直ぐ会えるんですね……』

『藍川、泣いてる?』

『違いますよ』

藍川は違うと言ったけど泣いているって分かった。
ごめんな。今までいっぱい我慢させた。
シンガポールにたつ日、見送りに来た時もお前は目に涙をためているくせにムリに笑顔を見せて強がっていた。

「大丈夫です。暫く会えないけど次に会えるのを待ってます。だから藤崎さんはシンガポールで仕事頑張って下さいね」

泣き笑いのその顔で強がる。そんな顔をもう、させなくてすむんだな。

『泣くな』

『だから泣いてません。ただ……うれしいんです』

ウソつきだな。泣いてるのバレバレなのにな。


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