まるでペットのような彼
そんな日常だが、引っ越してから1ヶ月。

やっと授かったようだ。


決算時期も終わり、一段落してから授かるなんて、できた子どもだ。



先週の休みの日に郁美から言われた。
「悠。」

「ん?」

「…できたみたい」

「ホントか?」
俺は、うれしくて郁美に抱きついた。

「まだ、医者に行ってないから、ぬか喜びだったらごめんなさい。」

「それなら、また励むだけだから大丈夫だ。」
そう言ったら、郁美が赤く染まってしまった。

「そ…そんな…は…はげま…なくて…」

郁美は、恥ずかしくなるとすぐに吃ってしまう。
こんなとこも、普段とのギャップでよいんだけどね。

「早く医者に行かないとな。」

「うん。仕事も落ち着いたから、明日にでも行ってみるね。」

「なんで気づいたんだ?」

「実は、会社で貧血おこしたの…それまで忙しかったからそのせいだと思ってたんだけど、既婚者の先輩が奥さんが妊娠したときもそうなったから、念のため調べておけって言われて、検査キットを買って調べてみたら、陽性だったのよ。」

「そうだったのか…先輩に感謝だな。」

「そうね。」

本当に感謝だ。
知らずにいたら、無理をして流産することもあるからな。

「郁美は、無理しそうだから、気をつけるんだよ。」

「いやだ~、心配性だな~、大丈夫よ。」






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