まるでペットのような彼

あれから、何ヵ月も経ち、郁美の産休のための人事で臨時に課長代理クラスの人が契約に来ていた。


受付嬢がイケメンだと噂している。



私がいる部署は、総務部人事課だ。
手続きなどで、顔を会わすことあるだろうけど、さしたる接点もないだろうと思っていた。


加藤ちゃんから、興奮した連絡があった。
彼女は、同じ部署になるんだからイケメンだったら興奮しちゃうかもね。



人事の異動手続きと受け入れの手続きをしていたら、噂の本人が郁美に伴われてやってきた。


「ここが総務の受付です。それで斎さんの手続きってできてるんでしょうか?」

郁美が尋ねてくる。

「はい、斎 周(サイ アマネ)さんですね。手続きできてます。これが入館証兼身分証となります。」

そう言い、手続きの説明しながら必要書類を渡す。


必要箇所に記入してもらってるときに、斎さんのコロンの香りが漂ってきた。


(…この香り)

もう顔も忘れかけていたのに、香りを覚えていたようだ。

あの朝、たしかにこの香りが残っていた。

バーで誘ったのは、愁いを帯びたイケメン。
いま目の前にいるのは、爽やかそうなイケメンだ。

自分の記憶に半信半疑になる。

背格好は、同じくらいだと思う。


同じようなコロンを使ってる男性なんてけっこういるもんよ。

そう気を取り直して、書類を受け取る。









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