まるでペットのような彼
脅されるようについてきてしまったけど…
この人だって、既婚者なんだから、奥さん以外に付き合ってる相手がいるなんて噂、よいわけない。


お店についてから、脅しだけで本気じゃなかったかもと思った。
だけど、私も既婚者と付き合ってるなんて、噂されたらちょいと困ってしまう。

電車で二駅ほど移動して、昔一緒に行ってたBARへ移動した。

お店に入ると、相変わらず静かな雰囲気で、クラッシック音楽が流れている。


「懐かしいだろ?」

「…そうね」


以前と同じように、カウンターに座り、軽めのカクテルを注文する。
神田さんは、ウイスキーのロックだ。

「じゃ、久しぶりの再会に乾杯。」

「……」

「そんな顔をするなよ。
別に嫌いになって別れたんじゃないんだからさ。」

「別れたのは、事実だからよいです。」

「…俺は、郁美のこと忘れたことないよ。」

今更、なに言ってるの?

「郁美みたいな女っていなかったからね。
こんなよい女になっちゃって…
また、付き合わない?」

「既婚者と付き合うつもりありません。それに彼氏いますから。」

「へ~、郁美に彼氏?」

「…」

「お堅い郁美を落としたのは、どんな男なのかな?」

「神田さんには、関係ありません。」

「そんなことないだろ?
俺、嫁とあまりうまくいってなくてさ。あのとき郁美を選んでたらって思うときあるんだよね…」

そんなこと過ぎてから思ったって、過去は、戻らない。
あなたが選んだんだ。









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