無愛想で糖度高めなカレの愛
「童貞の方がよかった?」


あぁ、なんか誤解を招いてしまう!


「そ、そういう意味じゃないんだけど! 私の他にもこうやって愛された人がいるんだって思うと、ね」

「嫉妬してくれるんですか」


ぎこちなくなりながら言う私に、夕浬くんはわずかに不敵な笑みを見せた。

……そう、これは嫉妬。あなたを独占したいのは、私も同じだから。


「するわよ、もちろん。元カノとはどういうデートをしてたのかとか、別れた原因とか気になっちゃうし」


素肌の胸におでこをくっつけて素直に言うと、彼は私の髪をときながら、少し考えを巡らせるような間を置いて話し始める。


「付き合ってたのは大学時代だったんで、デートはもっぱら研究室でしたね。そんなことばっかりしてたら、彼女の方から『研究と私どっちが大事なの?』と聞かれて」

「……聞かれて?」


ぴくりと反応した私は、彼の答えを促す。すると。


「人間の脳の構造に根本的な性差があるから、それは聞くだけ無駄な質問だよと返したら『もういい、別れる』と」


それを聞いた直後、私は思いっきり吹き出した。

なぜ。この人の元カノとの話は、嫉妬するどころか毎回笑ってしまうんだけど。

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