無愛想で糖度高めなカレの愛
「心から欲しいと思ったのは明穂さんが初めてです。こんなに愛しく思って抱けるのも、あなただけ」


……あぁまた、心も身体もとろけそう。

色も形もない“幸せ”が、私の中で確かな存在となって満たしてくれるようだった。

懲りずに深く濃厚なキスをして、お互いの肌に手を滑らせる。


「いつからそんなふうに思ってくれてたの?」


こぼれる吐息が熱を持っていくのを感じながら、私は密かに気になっていたことを聞いてみた。

夕浬くんは私のくびれを撫でていた手をぴたりと止め、こんなことを口にする。


「……実は俺、三年前の今頃、忘年会の後に泣きそうになってる明穂さんを偶然見かけたんです」

「えっ!?」


それって、私が恵次の浮気を目撃してしまった、あの時だよね? まさか夕浬くんに見られていたなんて!

驚きで目を開く私に、彼は穏やかな口調で話を続ける。


「あの時はもちろん、何でそんな顔をしてるのかもわからなかったし、そこまで明穂さんと話したことがなかったから声も掛けられなかった。でも、あの出来事があってから、あなたを特別よく見るようになってました」

「そうだったんだ……」

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