無愛想で糖度高めなカレの愛
そのメモには、買い物リストの下に小さな謎のキャラクターがいる。これは沙織が描いたものだ。

彼女は昔からイラストを描くのが得意で、年賀状も毎年沙織に絵を描いてもらって、それをプリントアウトしている。

本当に好きだなぁと、妙に癒される変なキャラクターを見て含み笑いしていた、その時。ある考えが閃いて、私は沙織の方を振り返った。


「ねぇ沙織、お願いがあるんだけど……」



 * * *



二日後、私は定時を過ぎてから恵次を呼び出し、一階の休憩スペースの丸いテーブルに、隣合って座った。

用件はもちろん、楠木百貨店での商談について。

恵次がおごってくれた缶コーヒーと、自分のファイルをテーブルに置いて、さっそく話し始める。


「うちの一番の売りは、“県内唯一のチョコレート工場”ってことでしょう? 全国的に名前が知れた有名ブランドじゃないけど、逆に地域密着型っていうところを押し出すのがいいと思うんです」


ここまでは、当然恵次も考えていたはず。

足を組み、真剣な面持ちで頷く彼に、私はファイルからあるものを取り出しながら言う。


「そこで、商談にコレを持っていったらどうかなと」

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