無愛想で糖度高めなカレの愛
やっぱりマンガ喫茶コースだ!と思いながら、“悪ふざけもいい加減にして”と吐き捨てようとした瞬間。


「よかった」


そんな一言が聞こえてきたものだから、私は口をつぐんだ。ついでに憤りも一旦治まる。

怪訝な顔で、まっすぐ私を見つめている河瀬くんを見やる。


「何が……」

「今、間宮さんが誰のものでもなくて」


…………え?

その言葉の意味を考えて目を開くと、彼は真剣な眼差しではっきりと言った。


「家、来てください。俺があなたと一緒にいたいんです」


──ドキン、と心臓が音を立てる。

からかってるような雰囲気じゃない、よね?

どうしよう、普通に嬉しい……けど、ちょっと待って。

ときめく感覚とともに違和感を覚えて、ぽかんとする私。


「“俺”?」


って言ったよね、今。いつもは“僕”なのに。

無意識に口にしたのか、思い出したように「あぁ」と声を漏らした河瀬くんは、少し表情を緩めて眼鏡に手を伸ばした。


「あれは仕事用です。もう帰るんだし、堅苦しいのはやめましょう」


そう言って眼鏡を掛けると、ポケットに片手を入れ、再び私に向き直る。

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