無愛想で糖度高めなカレの愛
もう三年も経っているのに、いまだに尾を引いているのは、きっとあの人に高校時代から想いを寄せていたせいでもあるのだろう。

それくらい、私にとっては色濃い恋愛だった。

だから捨てたくないのだ。長い間自分の中にあった恋心を、無意味なものにしてしまいたくないから。


でもそう考えると、私はただ昔の綺麗な思い出に縋り付いているだけのような気がして、それこそくだらないと思える。

なんだか、胸に焦げ付いたものがするりと落ちていく感覚がした。

河瀬くんは紅い液体を眺めながら、優しく諭すように話を続ける。


「無理に忘れることなんてできません。でも、記憶できる容量には限りがある。元カレのことよりも、強くて大切な記憶を作れば、自然と風化されていくはずです」

「……元カレより強くて大切な記憶、か……」


彼の言葉を繰り返してから、「そうだね」と頷く私は、無理することなく笑うことができていた。

新しい恋をして徐々に薄れさせていくのが、やっぱり一番いい方法なんだろうな。


「ありがとう。なんか河瀬くんのおかげで、早く恋したくなってきちゃったな」


グラスを片手にソファーに背中を預け、笑いながら軽い調子で言ってみた。

前向きなことを口にするだけで、気分も未来も明るくなる気がする。

< 56 / 215 >

この作品をシェア

pagetop