無愛想で糖度高めなカレの愛
室長にたずねられたのは、河瀬 夕浬(カワセ ユウリ)くん、二十六歳。わが社きっての有能な若手研究員だ。


研究室では、チョコレートの成分、なめらかさや触感に至るまで、何度も試作や試食を繰り返して商品を生み出している。

そうして、私達開発課が提案したアイデアを、毎回見事に形にしてくれるのだ。

そのために欠かすことができない存在が河瀬くんなのだと、室長は言う。


そのくらい技量もあって信頼もされているから、今日のような会議でも、話し下手な室長の代わりに彼が意見することがほとんど。

それも容赦なく、問題点をビシバシと突き付けてくる。目上の相手にも物怖じせず、いつもの無表情で。


河瀬くんは、おそらく誰もが認めるであろうイケメンだ。

眼鏡の奥の目は二重でアーモンド型、鼻筋も通っているし、唇もふっくらとして形が良い。

マッシュショートの黒髪は、前髪を斜めに流していて大人っぽく見える。


そんな、モデルができそうな顔立ちをしているのに、表情が乏しいことが玉にキズ。

皆は“研究にしか興味がないからああなんじゃない?”と、陰で話しているけれど。

今回の彼の反応はいかがなものか……。

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