無愛想で糖度高めなカレの愛
「いつキスしてもいいように、口の中は清潔にしておくのが鉄則じゃないですか~」

「はぁ、なるほど……。ていうか、まだ付き合ったわけじゃないからね」


微妙に納得しつつ、大事な部分を強調しておいた。

美結ちゃんは熱々のグラタンをふーふーしながら、あっけらかんと言う。


「まんざらでもないんでしょ? もう付き合っちゃいましょうよ!」

「んー……まぁ、ね」


曖昧な返事をしたけれど、私も結構その気になってきている。

夕浬くんのことばかり考えてドキドキしてしまうし、もっと一緒にいたいとも思う。恋するってこういうことだったなと思い出した。

一気に膨れるこの気持ちが“好き”なのだ。きっとこれから先も、この気持ちがブレることはない。



──そう、認めようとした矢先。

ストライプ柄のグレーのスーツを着こなし、大人の余裕を漂わせる人物が開発課に現れ、私の身体は凍りつく。


「……けい、じ……」


三年ぶりに名前を口にした瞬間、じりじりと焼かれるような痛さと熱さが胸を蝕み始めた。




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