月下美人の咲く夜を
「ホントに咲月?」
まるで素っ頓狂な声をあげる俺に咲月は微笑んで頷いた。
「そうだよ。私だよ。…月人。
こっち、来て?」
僕の手を取り、寝室を出る咲月。その手は温かくて以前と何も変わらない。
違うのは………この香り。
「ホラ、これ見て。」
指し示す先にあったのは、俺と咲月が育てたひとり鉢。
「………咲いてる。月下美人が…。」
呟きを落とした僕の目に映ったのは、明かりのついていないリビングで月の光を浴び、咲き誇る大輪の花。
一目見たかったその花が、そこにあった。