月下美人の咲く夜を
夜と朝の間の、昨日と今日の繋ぎ目の時間。
「咲月…!咲月……さ、つき……!」
私を余裕なく抱き、身体中に朱い印を落としたあなたは今はもう目を閉じている。
「咲月…咲月。……なぁ、行くなよ。」
もう、私を見ることはない。
だって………
「時間、だね。」
月下美人も、もう花が…。
「ねぇ、月人。
もう…地上に降りようね。」
耳元で囁くと、
「あぁ……ありがとう。幸せだった。」
あなたはそう呟いて、一筋の涙を流した。
『さぁ、魂のあるべきところへ。』
頭に流れるように響いた声は私の願いを聞き届けてくれた力。
「はい。……ありがとうございます。」
私はまた白いワンピースを纏い、月人の涙の跡をそっと拭って消し、一枚の手紙を残した。