ぼくらのストロベリーフィールズ



尚紀くんがコロッケを油からすくい出している間に、

盛り付けを私と小学生の弟クンとで担当することに。



「お前、自分のだけほうれん草少な目にすんなよ」


「ちっ、バレたか」


「だからすぐ風邪ひいてビービーいうんだろうが」


「はーい」



音や声が絶えないにぎやかな家で。


お兄ちゃんとしてふるまう尚紀くんの姿がほほえましかった。



その反面、うらやましさにも似た感情が湧き、胸が切なくなった。



「いいなぁ〜。料理できて面倒みてくれるお兄ちゃんがいて」



弟クンにそう話しかけてみると。



「うわ、のばらダマされてるしー。にーちゃん中学の頃すげー悪かったんだよ」



え?


すげー悪かったって。本当っすか?



まあ尚紀くん、確かに見た目は若干怖いですけど。


(てか、いつの間にか弟クンに呼び捨てにされてる……。)



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