ぼくらのストロベリーフィールズ







次の日、悔しいけど学校を休むことにした。



バイトと勉強で疲れたから、ということにしておいた。


一吾くんは、先生にちゃんと連絡しときなよ、と言って学校へ向かった。



ちなみに別々に寝よう宣言をされてから、私は軽めの布団を家から持ってきていた。


ほこりっぽかったので干そうかなと思ったけど、体が重くてそのまま寝ることにした。



震えるスマホは全部無視した。


1人で気持ちの整理がしたかった。



中学の頃も悪口や嫌味を言われたことはあった。


でも、こんなにも明らかないじめに合うのは初めてだった。



『実は~もともとウザいって思ってたんだよね~』


『中学の時からすげー男好きでハブられてたらしいよー』



ナズちゃんたちのわざとらしい声が頭の中をさまよっている。


ぎゅっと下唇をかんで涙をこらえた。



泣いて目が腫れないよう、目をつぶって二度寝をすることに集中した。



――ピンポーン。



インターホンの音で目が覚めた。



もしかして、ナズちゃんたちが嫌がらせをしにここまで!?


びくっと体が震える。


いやいやまさか。ここ一吾くんの家だし!



恐る恐るモニターを見ると、同世代くらいの男の子の姿があった。

誰だろう。



「……はい」


「あれ? ここ一吾の家っすよね?」


「そうですけど。今、一吾くん学校行ってますよ」


「うっそぉ、マジ? あいつ学校とかちゃんと行ってんの? って、おっ一吾じゃーん。何だよ急に呼び出してー」



ちょうど一吾くんが帰ってきたようで、ぷつりとモニターの画面が切れた。



えええ! 急に来客っすか?


うわ。私Tシャツにスウェットじゃん! 超部屋着なんすけど!


しかももう夕方だし! 寝すぎたー!



慌ててパーカーを羽織ると同時に、ガチャ、と部屋の扉が開いた。



< 205 / 315 >

この作品をシェア

pagetop