ぼくらのストロベリーフィールズ
8
★
『一吾ちゃん! 達也が……!!』
心愛ちゃんを抱えたまま、ユメナさんが泣きそうな顔で叫んだ。
達也さんが族を抜けようとしている、という話はあっという間にその筋の人たちに広まった。
事前に達也さんに
『これは俺の落とし前だから、絶対邪魔すんなよ』
ときつく言われていた。
だけど、僕は准クンと一緒に探しに出ることにした。
『いつも集会してるとこにはいないわ』
『うわーあいつも知らないって。主要メンバーにしか連絡いってないみたい』
准クンがラインやツイッターで情報を集め、
僕は必死に自転車を走らせ、町中を探し回る。
前に、リーさんとゆーたさんから聞かされていた。
『実はおれらも族誘われてたんだけど、達也さんに絶対やめろって言われてたんだよねー』
『なにげにオレら守られてた感じするわ』と。
引退以外であの族を抜ける場合は、幹部たちとのタイマンに勝たなくてはいけない。
でも、実際にはそんなの無理で、待っているのは仲間からのリンチ。
いくらケンカが強い達也さんだからと言って、無事で済むわけがない。