ぼくらのストロベリーフィールズ
8







『一吾ちゃん! 達也が……!!』



心愛ちゃんを抱えたまま、ユメナさんが泣きそうな顔で叫んだ。



達也さんが族を抜けようとしている、という話はあっという間にその筋の人たちに広まった。



事前に達也さんに


『これは俺の落とし前だから、絶対邪魔すんなよ』


ときつく言われていた。



だけど、僕は准クンと一緒に探しに出ることにした。



『いつも集会してるとこにはいないわ』


『うわーあいつも知らないって。主要メンバーにしか連絡いってないみたい』



准クンがラインやツイッターで情報を集め、


僕は必死に自転車を走らせ、町中を探し回る。



前に、リーさんとゆーたさんから聞かされていた。


『実はおれらも族誘われてたんだけど、達也さんに絶対やめろって言われてたんだよねー』


『なにげにオレら守られてた感じするわ』と。



引退以外であの族を抜ける場合は、幹部たちとのタイマンに勝たなくてはいけない。


でも、実際にはそんなの無理で、待っているのは仲間からのリンチ。



いくらケンカが強い達也さんだからと言って、無事で済むわけがない。



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