ぼくらのストロベリーフィールズ



准クンから情報を見つけたという連絡があった。



僕は、『達也さん見つけたらどうしますか?』とユメナさんに電話した。



『あいつが無事なのが一番大事だよ。だって心愛もいるから……』


と涙まじりの声が返ってきた。



前にふ頭で達也さんが言っていたことを思い出す。



初めて血のつながった家族ができた彼は、

きっと、これからユメナさんと心愛ちゃんのために生きていきたいのだ。



引退した幹部は、組に入ったり、怪しい仕事をしたりしている人も多く、それだと危険と隣り合わせのまま。



もちろん途中で族を抜けた人は、幹部だけでなくOBたちからも今後、目の敵にされるだろう。



『じゃあこの町出ることになってもいいんすか?』


『うん。その覚悟できてる』



その言葉を聞いて、僕は通行人を装って警察に連絡した。



街灯が少なく、薄暗い河川敷の広場で。


土下座をしたまま、蹴られ殴られている達也さんの姿をやっと見つけたからだ。





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