ぼくらのストロベリーフィールズ


無意識のうちに受け入れる準備をしているのか、全身が熱くなっていた。


緊張のあまり息も小刻みになっていく。



静まり返った部屋の中で、私の心と体だけが騒がしかった。



しかし――


彼から発されたのは、やはり冷たい声だった。



「あのさ……そういうこと簡単に言わないでくれる?」



目の奥が急に痛くなった。


泣くなと思っても、瞳に涙がたまっていく。



「そうだよね……私ふられてるもんね。ごめんね」



「は?」



「前に一吾くん言ってたじゃん。私をそういう対象に見たくないって。恋愛対象に見れないってことでしょ?」



「違う」



「あ、私のお父さんと約束したから? 手出さないって」



「……それもあるけど。ちょっと違う」



「じゃあ、何?」



再び冷蔵庫がぶーんと音を鳴らし始めた。



さっきとは違う緊張感が、全力で私に襲ってきた。


また拒否されそうで怖い。



でも、無理やり手を伸ばさないと、


彼の奥の部分までたどり着くことができない。



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