ぼくらのストロベリーフィールズ

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え、うそ!? これって……そうだよね? だよね!



人でごった返している下駄箱近くにて。


私は驚きのあまり、口を半分ちょっと開けたまま、クラス発表の掲示を見つめていた。



今日から、高校生活がスタートする。


さっきまで新しい友達作らなきゃとか、スカート丈これくらいで大丈夫かな、とか、

そわそわと考えていたはずだけど。



クラス表の1年A組の欄に、


『榊田 一吾』


という名前を見つけてしまったのだ。



思い出したのは、昔近所のマンションに住んでいた、か細くてか弱い、いじめられっ子の美少年。


私はいじめっ子たちを退治して、よく彼のことを助けていたっけ。



別に、正義感が強いとか、男勝り系女子とか、私はそういうキャラではないのだけど。



『……僕にはそんな力ないよ』



そう言って、何かを諦めたような顔をした彼がほっとけなかったのだ。



その一吾くんが遠くに引っ越してしまったのは、確か小学2年生くらいの時。



ってことは、7、8年ぶりに再会できるんだ。楽しみ!



「…………」



A組をのぞいてみたけど、彼らしき人はいなかった。


まだ来ていないのか。残念。



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