流れ星スペシャル
で、店長はオレには「ん」と、あごで自分の横を指す。
鉄板の前に立つ自分の隣で、焼けってこと。
もひとつ言っとくけど、オレが富樫さんを嫌う百倍ぐらい、向こうがオレを嫌っている。
それでも店が混み合う週末の夜には、そんなオレの手を借りなけりゃ客をさばけないのが悔しいらしい。
やたらエラそーな態度をとってくるんだ。
いつかこいつを殴って、ギッタギタのボロボロにしてやる。
いつもそう思うけど、いまだ実行には移していない。
こんなやつ、さっさと殴って、店辞めてしまえば済むことやのに……。
目の前の鉄板には、さっきのバイトが焼いたお好み焼きが2枚出来上がっていた。
「はい、上がるよー」
大きく声を掛けると、ホールのバイト達がさらに大きな声をあげる。
「はーい、行きまーす!」