流れ星スペシャル
「なー綾香さん、リカコ先輩大丈夫かな?」
残業の合間に、気になっていたことを口にした。
「桂木さんの転属のこと?」
「うん」
「今日の今日やし、リカコはまだ桂木さんから聞いてないんちゃう?」
そっか、電話じゃちょっと伝えづらいかも。
「ショックかな、やっぱり」
「いや、……リカコは大丈夫」
なぜかキッパリと綾香さんは言った。
「そうやんね。リカコさんがいるんやもん、桂木さんも大丈夫」
「う……ん、まぁ……な」
と今度はちょっとビミョーな返事。
んん?
「こら沢井、手が止まってんで」
怪訝な顔をしてたら、綾香さんに怒られた。
そうして――
そんなこんなで、やっと仕事を終えたのは7時を過ぎる頃だった。
まだ残っている綾香さんや他の同僚たちに挨拶をして、わたしはオフィスをあとにした。