流れ星スペシャル
「会社の人やて」
カウンター向かいの鉄板で調理をしている男性ふたりに、店員さんは明るくささやく。
「ちょっと待ってて下さいね」
それからわたしにはそう告げて、その子はジョッキにビールをついで、さっきの客席へ飛んでいった。
その足で別のお客さんの注文を取りに行く。
忙しそう……。
ん?
視線を感じて顔を上げると、鉄板前の男と目が合った。
キレイな顔立ちの若い男で、涼やかな瞳が不機嫌そうにこっちを見ている。
「あんた、酒わかる?」
いきなりそう訊かれた。
「へ?」
「サワーとかカクテルの作り方、わかるか聞いてんねん」
「あー、学生の頃、居酒屋でバイトしてたから大体はわかるけど」
わたしがそう答えると、男の顔がパッと輝いた。
「マジで?」
一変したその表情が、意外とあどけなくて可愛いからビックリする。