流れ星スペシャル
「うるるん、この人に着替え出したって」
ちょうど戻って来たさっきの女の子に、男が言った。
「え?」
「店、手伝ってくれはるって」
「わ、わたし?」
そんなん言ってない、という前に、女の子がはっしと、わたしの手を握った。
「うわぁ、助かりますっ」
そのままうれしそうにピョンピョンと跳ねる。
この子、さっきからひとりでめっちゃ大変そうやもん。
おそらく他の人たちは辞めてしまって、人数が足りないまま営業してるんだと思う。
それなのに、ちゃんと笑顔で接客していて、本当にスゴイ……。
せっかく辞めずに残ってくれた人が、こんな大変な目に合っているなんて、なんとも心苦しかった。
会社を代表して、微力ながら手伝おうか……。
チラッと男を見あげたけれど、もう気持ちは手元に戻っているらしく、こっちを見向きもしなかった。