流れ星スペシャル


「あのね、トシヤ……。この中に30万円入ってる。こ、これで朝まで一緒に……いてもらえないかな?」


え……?


「トシヤにとったらこんなお金、ほんの端金やろうし、こんなんじゃ全然足りないってわかってるけど……。それならせめて1時間でも2時間でもいいから、一緒にいて欲しい」


言葉につまりながら、その子はやっとそう言った。

それはつまり……。


「『抱いて』ってことやんな?」


隣でうるるんがささやいた。


トシくんの顔からは、さっきまでのフランクな笑みは消えて、ただ静かに彼女を見つめている。


「30万で、オレを買う?」


ポツッと、抑揚のない声でトシくんが聞いた。


「ゴ、ゴメン。わたし、あの……」

「うちの店、そーゆーシステムないから。
つーか、これでもオレ、お客さんとはそーゆーことしないって決めてるし」

「ゴメンなさい。で、でも……」




「震えてる、あの子……」


うるるんが小さくつぶやいた。

封筒を差し出したその子の白い手が、プルプルと震えている。

目には涙が、今にもこぼれ落ちそうに光っていた。


「ナルちゃんそれ、会社でがんばって働いて貯めた金やろ?」

「うん」

「あかんやん、ムダ遣いしたら」


トシくんは、震える彼女の手から、スッと封筒を抜き取った。


それからそれをスーツの内ポケットにしまう。


えっ、も、もらうんや? お金……!


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