流れ星スペシャル


ホスト明けの水曜日のトシくんが、あんまり儚げでステキだったから、そーゆートシくんを見たくてワクワクしていたくせに……。

実際目にするそーゆートシくんは、全然知らない人過ぎて、若干引いていた。


自分の仲間が、ズーンと遠くへ行ってしまったような……。

信じていた人に裏切られたような……。


いや、おかしいねんけど。


「あ、わたし、トシくんに『電卓叩くの早いな』って言われたことある!」

「え~っ」

「あれって、お決まりのセリフだったんだ」

「キモ」


わたしたちは自転車を停めてある場所まで、ぽこぽこと歩いた。


「あそこで、あのキス要る?」


うるるんがガバッと振り返って言う。


「それそれ」


あのキスシーンが、わたしたちには衝撃的過ぎたんだ。


「でも……優しかったよな、トシくん」

「うん」


「らしいような、らしくないような……」

「カッコいいような、キショいような……」


「誰とでも平気でキスするような男……やめとき」

「トシヤ……!」


ふたりでひたすらマネをしながら、夜道を歩いた。


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