流れ星スペシャル


「うん。年末年始は桂木さん、あんなことがあった後なのに誰よりも気合入ってて、しっかりとわたしたちを引っ張ってくれてた」


うん。ホントにそうだった。


「それが終わって、フッと時間ができて、気がついたら、心にぽっかりと穴が開いていた」


なんてことは?とアズは聞く。


「あー」


あり得る。


「桂木さんはもともとリカコさんのこと好きなまま別れたんやと思うもん。ムリに終わらせた気持ちやもん」


アズはあの日のやり取りを見ていなかったくせに、桂木さんの気持ちがわかるようだった。

さすがあの人のことばっか考えてるだけのことはある……。


「ムリに終わらせた『好き』の気持ちが、実はちっとも終わってなくて、今ちょっとしたほころびから、一気にブワッと押し寄せてきてるとしたら?」


心配そうにつぶやくアズ。


「えー……。それでも諦めるしかないやろ。離婚したんやし」

「でも……」

「そりゃ、つらいやろうし、時間はかかると思うけどな。急には消えてくれへんから、その……『好き』の気持ち? なんてもんは」


アズの言葉を借りてそう言った。


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