流れ星スペシャル


あの離婚届の晩、焼酎を持ち帰った桂木さんのことを考えていた。

まったくハジメとは好対照やなって思う。

昔々ハジメと一緒に暮らしていた頃、ハジメは何かあると必ず、浴びるように酒を飲んだ。

人に踏みつけにされたり、信じていたやつに裏切られたり、そんなことがちょいちょいあったから。

悔しくて、悲しくて、泣いてわめいて当たり散らして大変やったっけ。

ハジメはそうして飲んで暴れて、これでもかってくらい相手の悪口を言いまくり、誰かれなくケンカを売って、所かまわずゲーゲー吐いて……。


後始末がホントに大変だった。巻き添えを食らうこっちの身にもなってほしかった。

それでも当の本人は、翌日にはケロッとしてたっけな……。


桂木さんはハジメとは違う。

全部ひとりで抱えて自己処理しようとする。


あの晩、桂木さんが酒と一緒に飲み込んだ気持ちを、オレにどうこうできるわけはないけれど……。

でも、たまには羽目を外して発散させてやりたかった。

それぐらいの迷惑なら、喜んで引き受けたかった。


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