流れ星スペシャル
うるるんが今、本気でドキドキしているのが、その表情で伝わってくる。
桂木さんは真っ直ぐにうるるんを見つめたまま、頬に添えた右手の親指でスーッと彼女の唇をなぞった。
わ……。
うるるんの耳が赤く染まる。
そこで桂木さんはパッと手を離した。
「えっ、終わり……?」
「うん、うるはまだ子供やから」
なんて言って姿勢を戻し、またグラスに口をつける。
「えー、うちもう18やで? 子供とちゃうもん」
ここでやっといつものうるるんに戻った。
さっきまで堅物の桂木さんの想定外の反応に、乙女丸出しでドギマギしていたくせに……。
「ははは」
「もー店長、笑ってごまかすんヤメて」
なんて、あとはいつものやり取り。
「あかん。オレ、ほんまに酔っぱらってるわ」
桂木さんはボソッとつぶやくと、ゆら~りと席を立った。
「ちょっとトイレ」
そうしてふらつきながら個室の上がり框へ下り、店のスリッパを履いて歩いていく。
もしかして吐きに行ったのか……?
「アズちゃん、次はアズちゃんの番やで」
すると、うるるんが小声でささやいた。
「今夜の店長は、いつもの健全な店長とちがうから。なんか男の人って感じで……チャンスやと思う!」
こいつ、ジャマしてるんか応援してるんか、どっちやねん。