流れ星スペシャル
「じゃあ、特等席作ります」
桂木さんはそう言って、おもむろに立ちあがる。
そうしてベッドのほうへ行くと、布団を取っ払ってたたみ、フロアの隅に積んだ。
それからマットレスをカチカチとやり、リクライニング式のローソファに変身させる。
「座ってて」
「あ、はい」
うながされて、そのソファに腰を下ろすと、桂木さんがコーヒーを淹れてきてくれた。
脚付きのトレイにのっけて、フローリングの床に置く。
「テレビ……めちゃ大きいですね」
ソファの真ん前には、結構大型のテレビが部屋にそぐわぬ感じでデーンと置かれている。
「あー、離婚するとき、お互いに自分が買ったものを引き取ることになって……」
と桂木さんは言った。
「家具は向こうで、家電がオレで……。他のはだいたい実家に送ったんやけど、テレビだけデカ過ぎて拒否られまして……」
なんて笑いながら、レコーダーにDVDをセットする。
それから彼は部屋の照明を落とし、壁際の間接照明だけを点けた。
暗くなった部屋の隅で、ほわっと暖かい明かりが灯る。
「これでちょっとは映画館っぽいかな」
ソファに戻ってきた桂木さんが、わたしの真横に座った。
彼の体重分、少しだけ座面が沈む。
「う……ん。ほんとに特等席」