流れ星スペシャル
「ゴメン」
小さな息を吐いたあと、桂木さんは言った。
「ほんまにアカンな、オレは……」
低い声が、そうつぶやく。
ギュウッと胸が痛かった。
大好きな低音の響きが、次に言う言葉は、きっとわたしの胸を刺す。
それでも、そうでもされないと、
わたしはこの恋をあきらめられない……。
「オレも……沢井さんが好きです」
長い沈黙のあと、その声はそう言った。
「え」
「気がつけば、いつも沢井さんの笑顔に、優しさに、強さに……惹かれている自分がいて。
でも……今さらそんな都合のいいこと、考えたらアカンって自分に言い聞かせてました」
「どういう……意味?」
思わず顔をあげると、桂木さんもこっちを向いていて、その目がちょっと困ったように笑う。
「沢井さんに交際を申し込むような資格、オレにはないと思ってたから。
沢井さんのこと……ほんまに幸せになってほしいから、オレじゃなくて、もっといいやつと結ばれるように願おうって決めてました」
「は……ぁ」
彼の言葉の意味が、うまく理解できない。
自分の都合のいいようにカン違いしてしまいそうで……。