僕等はまだ恋を知らない
「澪…………お前、あの茂み入っただろ?」
「へ!?」
鋭い大翔の視線にたまらず目を泳がせた。
ば、ばれた!?
「おい、澪」
かなりの怒りのオーラがビシビシと伝わってくる。
勢いでボコボコにされそうだ。
まぁそんなことはありえないんだけど、それでもやばい。
「大翔が沙耶だけ乗せて自転車で行くからだよ!!」
少しでも怒りから逃れそうと、頭の中にいくつかの言い訳を重ねていく。
「私と2人の時は絶対歩きのくせに」とか「沙耶だけ特別扱いしすぎ」とか、とりあえず思いついた言葉を並べる。