ヴァイス・プレジデント番外編
「…連休、どこか行きます?」
「うーん」
考えものだよね、と触れる唇が言う。
「家でこうして、ぺたぺたしてるのも、いいよね」
「そうですね…」
無邪気な言いように思わず笑うと、腰のあたりをなでていた手が下着にかけられるのがわかった。
「すずも、疲れてるみたいだし」
にやっと笑う顔と、間近に目が合う。
手がすべりこんできたのを感じたのは、同時だった。
そんな、とってつけたような理由、と笑い飛ばしてやりたかったけど。
もう、私は、とてもそれどころじゃなくなっていた。
夏休みは、少し出かけた。
日帰りのドライブをして、海に行って、山にも行って、花火も行った。
私は、ようやく開発のペースに慣れて、四苦八苦しながらも充実していた。
秋が来て。
ある日、珍しくヤマトさんが、業務中に私を呼び出した。