ヴァイス・プレジデント番外編

「じゃ、暫定第一候補ね」

「ひとつ案が出ると、気が楽になりますね」



嬉しくなってぎゅっと抱きつくと、抱きしめ返してくれるかと思った手が、おかしなところを探りはじめた。

ちょっと、と止めても応じない。



「ヤマトさん」

「いい?」

「怖いから当分は我慢するって、ご自分が」

「ちょっと、限界」



確かに限界らしく、服を脱がす手つきがいつになく切羽詰まっている。

別にいいけど、どうしていきなりそんな気分になっちゃったの。

まじまじと顔を見つめていたら、恥ずかしくなったのか、ぶつけるようなキスが来た。

何度か重ねる合間に、ヤマトさんが熱い息を漏らす。



「兄貴と久良子さん見てたら、なんか来た。すごいんだもん、気づかなかった?」

「どうしてそう、変なところだけ勘がいいんですか」



知らないよ、と弱り果てたような声がする。

ヤマトさんは男女間で交わされる行為に対して異常な嗅覚を持っている。

新婚の彼らからは、さぞ濃密な匂いが発散されていたんだろう。


向こうの着ていたシャツを脱がすと、その身体はもうすっかり熱い。

すず、と呼んでは愛しげに抱きしめてくれる。

その熱っぽさに、苦しいです、とやんわり知らせないとならなかった。


ちゃんと信じてますよ、ヤマトさん。

ただ時々あきれずにはいられないだけで。

でもそんなところも、結局は大好き。


首を伸ばしてキスをする。

好きです。

信じてます。

そう伝えるキス。


ヤマトさんははにかんで、今さらなんだと言いたくなるほど恥ずかしそうな様子で、少し顔を赤くして照れて。

それしか言えなくなったみたいに、すず、とまた呼んで。


優しくて熱い、キスをくれた。




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