ヴァイス・プレジデント番外編
彼の唇は、ひたすら熱い。
鞄を持っているせいで、私の肩を抱く腕は片方だけで。
けれど離すまいとでもするように、きつく抱き寄せて、彼らしい、丁寧でひたむきなキスをくれる。
初めて触れてきた時には、何かを確かめるように、うかがうようにためらいがちだった唇は。
次第に、こらえきれないとでもいうふうに、じわりと熱を帯びてきた。
ゴトンと鈍い音がして、突然、両腕で抱きしめられる。
鞄を床に投げたのだと気がついた。
私もバッグを持ったままで、けれど腕ごと抱きしめられてしまったので、それを手放すこともできず。
柔らかいカーペットにヒールをとられながら、懸命に顔を上向けて、延大さんのキスを受けた。