ヴァイス・プレジデント番外編
「返事は、急がなくていいからね」
「いえ、楽しいお酒を教えていただきたいです」
即答すると、延大さんがきょとんとした。
私も自分の発言にぽかんとした。
しまったと思い、急いで補足する。
「あの、でも、私は、まだ…」
「決まった人、つくる気はないんでしょ? いいよ、それでも」
「…いいんですか」
にこりと微笑んでくれる延大さんに、申し訳なさがつのる。
私、なんてことを言ってしまったんだろう。
これじゃ、延大さんに失礼極まりない。
おいしいところだけもらっておいて、私のほうは何もあげない、と言ったようなものだ。
けど延大さんは特に気にもしていないようで、やった、とにこにこと嬉しそうにしている。
「じゃあそれまではもう、こんなふうに夕食に誘うの、やめるね」
「どうしてですか?」
それとこれとは、関係ないのでは?
そう思って尋ねると、彼は楽しそうな笑顔を崩さないまま。
「だって、照れちゃうじゃん」
とこっちが照れるようなことを言った。
ブレスレットを受けとった時点で、私にもう、選択肢はなかったのだ。
──なんて、そんなの、責任転嫁でしかない。
ずるい私。