許嫁な二人

 そんな唯の焦りを嘲笑うかのような笑い声がドアの
 向こうから聞こえてきた。


  (なに?、、、何なの?)



   「どんなに押しても無駄よ、開かないから。」



 向こう側から声がした。



   「開けて。」

   「だめよ。あなた生意気だもの、少し反省して
    もらわなきゃ。」



 ドアの向こうにいるのは誰だろう、、、同じ弓道部員
 には違いないが、、、。



   「瀬戸くんと意味深に目配せなんかしちゃってさ、
    残念だったわね、ここに瀬戸くんがいなくて。」

   「目配せなんか、、、。」

   「あら、そぉ? 私達知ってるのよ、瀬戸くんとあんたって
    許嫁なんだってね、幼馴染みでずいぶん仲よかったらしいじゃん。
    私は無関係です、みたいな顔しといて、こそこそ瀬戸くんと
    仲良くしてるなんて、ずいぶんよね。
    私のこと、笑ってたんでしょう。」



 そう言われて、唯は気がついた。

 ドアの向こうで喋っているのは、香山先輩だと。
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