許嫁な二人

   「どしたの 唯?」



 自分の席に力なく座っている唯のところに有未がやってきて
 不思議そうな顔をして唯を覗き込む。



   「らしくないよ。」

   「うん、、、。」



 有未はなんでもきくよという顔になった。

 言うつもりはなかったのに、頭の中がその名前でいっぱいに
 なっていたからか、唯は



   「瀬戸くんが、、、。」



 とぽつりとこぼした。



   「なに?遅刻常習犯の瀬戸?」



 常習犯と聞いて、違和感がひろがる。

 透は朝に強かったはずだ。

 それが証拠に、中学の弓道部の朝練にはいつもはやく来ていた。



   「そんなに遅刻おおいの?」

   「1年生の1学期から堂々と遅刻してたらしいよ。
    勉強はできるし、騒いだりはしないけど、いつも
    やる気なさそうでさ、
    ゲーセンや立ち入り禁止の店なんかにも入り浸ってるって。」



 聞いて胸の中に広がるのは違和感ばかりだ。

 透はそんな生徒ではないはず。

 その時の唯はそう思ったが、それからの透をみていて
 有未のいっていたことは、大げさなことでも何でも無いのだと
 唯は知る。
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