許嫁な二人

 遅刻はしょっちゅうだし、教科に関係ない授業は
 平気でさぼる、

 今も、球技大会にむけての練習中だが、透の姿はなかった。





   「瀬戸はあまりにも変わっちゃったからさ、碓氷さん
    ショックを受けると思って言わなかったんだ。」



 なぜ透のことを教えてくれなかったの?と問うた唯に諸井は
 言ったが、その通りになった。

 なぜ? なぜ変わっちゃったの?

 唯は心の中で問うが、それを口にだして言うことはできなかった。
 
 同じ教室の中にいても、透は唯に話しかけてこない。

 目が合うことすらなかった。

 中学1年の夏、再び結びかけた透との絆は、もう今は
 ぷっつりと断たれてしまったのだ、、、と
 唯はおもった。
< 75 / 164 >

この作品をシェア

pagetop