許嫁な二人

   「飼い主になる人は知り合いだから、逢いにつれてって
    やるよ。」

   「本当? ありがとう。」



 屈託の無い唯の明るい声を聞いて ”まいったな”と言いながら
 悠は苦笑いをもらす。

 ゲージを積み終え、自転車にまたがるとちょっとまじめな顔をして
 悠が言った。



   「唯、また学校でな、それに店にラーメン食べにこいよ。」

   「うん。」



 夕日の中を悠の自転車が小さくなるまで、唯は見送っていた。
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