許嫁な二人

  ” 猫の飼い主が決まった。” と悠から伝えられたのは
 それから、1週間ほどたってからだった。

 最後の日、悠はゲージごと猫をひきとりにきた。

 空のゲージを抱えてたつ悠の前で、唯はなかなか子猫を手放すことが
 出来ないでいた。

 滲んできた涙を隠すように唯が子猫の体に顔をうずめると、ぽんぽんと
 悠のやさしい手が、頭をなでてくれた。

 やっと、ゲージに子猫をいれて、悠が自転車の後ろにゲージをつむのを
 見ていて、唯は



   「もう、逢えないのかな。」



 とポツンともらした。

 えっと目線をあげた悠が



   「学校で逢えるだろ。」



 とぶっきらぼうに言う。



   「えっ、学校で逢えるの?」



 唯がすっとんきょうな声をあげると憮然とした顔で悠が言った。



   「だって俺たち、同じ学校だぜ。」
 
   「えっ、あっ、そうだけど、、、。」



 言いよどんだ唯をみて、はっと何かに気づいたような顔をすると
 すぐに悠は顔を赤くした。
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